2012年09月02日

有病高齢者、抜歯前の注意事項について、教えて下さい。

質問
はじめまして
 有病高齢者の抜歯前の注意事項について教えて下さい。


回答
安原歯科医院・安原豊人先生
 もちろん基礎疾患の種類によって注意事項や対応が異なります。
 一般に日本では高齢化社会の到来に伴い、心臓病や脳卒中の患者が増加しています。そのため心疾患や脳血管障害の患者さんの歯科受診も増加し、診療にあったっては注意が必要になっています。特に、これらの患者さんで、抗血栓薬を服用している場合には慎重な対応が必要です。例えば、虚血性心疾患の治療の一つであるステント療法は、冠動脈の狭窄部位に特殊な合金による金属を網目状にしたステントを血管の内部に入れ、内側から補強し、病変部を治療します。患者さんは冠動脈に挿入したステントに血栓ができて、再狭窄しないように、治療後にアスピリンなどの抗血小板薬を服用しています。
 また、心房細動の患者さんは、心臓内に血栓ができ、これがはがれて脳動脈を詰めると大きな脳梗塞を引き起こします。心原性脳塞栓症を起こした患者さんは再発防止のためにワルファリンを服用しています。
 抜歯などの歯科外科処置時に抗血栓薬(ワルファリン、抗血小板薬)を中断するか継続するかが長年、議論されてきましたが、最近は、適切な局所止血処置の下、抗血栓薬を継続したままでの抜歯が推奨されるようになってきました。根拠もなく抜歯時の出血を恐れ、抗血栓薬を中断することはかえって危険であることが考慮されるようになっています。そこで口腔外科医による、適切な止血処置と術後管理が必要となってきています。
 また、一方高齢化社会の到来により、骨粗鬆症でビスフォスフォネート系薬剤を服用している女性の方が増えてきました。ビスフォスフォネート(BP)製剤を服用中の方が、抜歯などの侵襲的歯科治療を行った後に、顎骨壊死を引き起こすことが稀にあります。最近の見解では、経口BP製剤投与中の患者に対しては、抜歯などの侵襲的歯科治療を行うことについて、投与期間が3年未満で、他にリスクファクターがない場合はBP製剤の休薬は原則として不要であり、口腔清掃後侵襲的歯科治療を行っても差し支えないと考えられています。投与期間が3年以上、あるいは3年未満でもステロイド投与などのリスクファクターがある場合には判断が難しく、処方医と歯科医で主疾患の状況と侵襲的歯科治療の必要性を踏まえた対応を検討する必要があります。
 他にも、肝機能障害や糖尿病などの基礎疾患がある方は、術後の出血や治癒不全などに注意が必要です。
 歯科口腔外科の専門医であれば、有病高齢者の抜歯に対して、知識や経験が豊富ですのでご安心ください。
posted by くりおね at 08:38| Comment(0) | TrackBack(0) | Q&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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